PLASの現地活動プロジェクト-HOPE現地レポート

ケニアレポート│海外事業アシスタントマネジャーがHOPEに寄せる想い -山口和美編- Part 2

PLASが2022年3月より新たに開始したHOPE(Household Improvement for Orphans by Poultry Activity and Career Empowerment Support)。HOPE事業では、養鶏による生計向上と子どもと保護者へのカウンセリングにより、小学生の子どもを抱えるケニアの貧困家庭の自立支援と子どもたちの継続的な教育機会を獲得することをねらいとしています。

PLASでは、ただいま、このHOPE事業においてクラウドファンディングを実施しています!現在(2022年8月15日)、18人の方より660,000円の支援をいただいております!引き続き、目標金額1,500,000円にむけて頑張ってまいります。ご協力をお願いいたします。

前回は、海外事業担当の山口が新事業HOPEができるまでの経緯や、養鶏事業の内容をお伝えしました。

海外事業アシスタントマネジャーがHOPEに寄せる想い -山口和美編- Part 1

 

今回は第2弾!海外事業担当の山口が、カウンセリングで大切にしていること、そしてHOPEにかける思いなどをご紹介致します!

 

 

PLASのライフプランニング支援とはー取り残された子どもたちが前向きに生きるための原動力に

HOPE事業は、生計向上だけではありません。生計向上の養鶏ビジネスを行う前に、子どもと保護者にライフプランニングに関するカウンセリングを行います。

 

前提として、子どもが自らの将来を描き、未来を切り拓いていくには子ども一人の力では実現できません。子どもが直面する課題を解決し、子どもが変わっていくには、保護者の変化が不可欠です。しかし事業に参加している保護者は大半が小学校を中退しており、自分自身が教育を続けられなかったために教育の意義や子どもの学業をどうサポートしていいかわからないという人が多くいます。

PLASではカウンセリングを通して、保護者は子どもたちとのよい関係性の築き方を学び、子どもの学習やキャリアを後押しできるよう変化を促していきます。

 

このようにカウンセリングを通じて保護者が子どもの教育やキャリアに対する意識を高めることで、その後の生計向上に取り組むモチベーションが高まり、よりよい生計向上の効果が期待できます。

 

 

PLASがカウンセリングで大切にしている2つのこと(1)

PLASが子どもたちへのカウンセリングで大切にしていることの1つ目は、子どもたちの「自己効力感」を高めることです。

 

「自己効力感」とは、何らかの課題に直面したときに「自分にはそれが解決できる・実行できる」と思える自信のことを指します。自己効力感は、その行動を実際に始めるかどうか、どのくらい努力を継続するか、困難に直面したときにどのくらい耐えられるかを決定づけると言われています。つまり、経済的に困窮する地域や家庭で育つ子どもたちが、これからの人生で必ずと言ってよいほど直面する困難や障壁に対して、投げ出さずに立ち向かっていく行動を支える原動力になります。

 

自己効力感が醸成されるには主に3つの要素が作用します(カナダの心理学者アルバート・バントゥーラAlbert Banduraが提唱)。具体的には、下記の3つです。

 

1)   他者からの励まし(言語的説得)

2)   ロールモデルの存在(代理体験)

3)   小さな成功体験を積み重ねる

 

※参考文献:Bandura, A. (1997). Self-efficacy: the exercise of control. New York: W.H. Freeman

 この3つの要素が、実際のカウンセリングでは次のように組み込まれています。

1)他者からの励まし(言語的説得)

・カウンセラーからの励まし

・保護者からの励まし(保護者がライフプランニング支援を受けることで子どもへ適切なサポートができるようになる)

 

2)ロールモデルの存在(代理体験)

・キャリアトーク:ビタで生まれ育ち、職業人として活躍する大人たちの話を聴く

・ カウンセラーの存在:地域のために活動するNGOスタッフと出会える

 

3)小さな成功体験を積み重ねる

・キャリアカウンセリングのセッションを経るごとに難しい課題をこなせるようになる

・地域の清掃活動(セッションの一つ)によって、役割を持って地域に貢献する経験を積む

 

全7回のカウンセリングには、随所に子どもたちの自己効力感を高めるポイントがちりばめられています。


(写真:キャリアトークの様子。スピーカーは弁護士です。)

 

PLASがカウンセリングで大切にしている2つのこと(2)

PLASが子どもたちへのカウンセリングで大切にしていることの2つ目は、「具体的な計画」を立てることです。

 

たとえば、車を思い浮かべてみてください。車に乗って目的地に行くために、何が必要でしょうか?

まず、車を動かすための原動力、つまり「燃料(ガソリン)」が必要です。これが、ライフプランニング支援でいう自己効力感です。

 

では、ガソリンさえあれば、目的地に行けるでしょうか?答えはNO. 

目的地にたどり着くには、

 

①あなたにとっての目的地はどこか

②そこに行くための道順(地図)と具体的な行程

 

この2つが必要です。これが、キャリアカウンセリングの最終セッションで子どもが作る「ライフプランニングシート」です。

 

たとえば、事業に参加する子どもが、キャリアカウンセリングの7日間のセッションを受けるなかで「航空技師になりたい」という夢(=目的地)を見つけたとします。

 

その目的地にたどり着くためには、必要な教育課程(中等教育・高等教育の修了)を理解して、そのために今から準備するべきことがあります(例:全国学力統一テスト:KCPEで〇点以上を取る。そのために、来年はこの教科を頑張る)。これが、目的地にたどり着くための地図と具体的な行程となります。

 

まとめると、次のようになります。

・車=子ども

・ガソリン=子どもの自己効力感

・目的地=子どもの将来の夢・目標

・地図=将来の夢・目標に行きつくための、具体的なプランニング

子どもたちが初等教育を卒業したとしても、様々な障壁や困難にぶつかる可能性があります。例えば、予期せぬ要因で家計が困難になったり、COVID19のようなグローバルな課題によって子どもたちの学業や暮らしにも影響が出ることもあるかもしれません。

 

また、子どもたち自身の成長に伴い、将来の目標が変わることもあるかもしれません。

そのようなときでも、ライフプランニング支援を受けた子どもは、車(子ども)の中にガソリン(自己効力感)が充填されていることで困難を乗り越えたり、すでにある地図の目的地や経路を柔軟に変更し、地図を書き換えていくことができるはずです。

 

HOPE事業への思い

本事業は新しく開始する事業であり、まだ規模は小さいですが、プロジェクトの今後を左右する重要なスタートでもあります。今回成果を出すことができれば、今後さらにプロジェクト参加者を拡大し、より多くの人に支援を届けることができます。

 

担当者としては、うまくいくだろうかというドキドキと、どんな風に現地で形作られていくだろうかというワクワクと、両方の気持ちがあります。予期せぬこともたくさんあるかなと思いますが、現地スタッフと一緒にプロジェクト参加者に寄り添って行きたいと思います。

 

事業名の「HOPE」は、日本でもケニアでも覚えてもらいやすいように現地スタッフと一緒に考えました。本事業がケニアの子どもたちと保護者・地域の人々の希望となるように、そして日本で支えてくださる人の希望となれるように、誠実に事業を進めていきたいと思います。

 

皆様のあたたかなご支援をいただけたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

クラウドファンディング「ケニアの貧困家庭の子どもたちを学校へ!ママたちが養鶏で自立を目指す」はこちら