PLASの現地活動ケニアプロジェクト-HOPE現地レポート

ケニアレポート│海外事業アシスタントマネジャーがHOPEに寄せる想い -山口和美編- Part 1

みなさんこんにちは!海外事業担当の山口和美です。

年に3~4回ほど、ケニアとウガンダに出張して、事業形成やモニタリングを行っています。

 

PLASが2022年3月より新たに開始したHOPE(Household Improvement for Orphans by Poultry Activity and Career Empowerment Support)。HOPE事業では、養鶏による生計向上と子どもと保護者へのカウンセリングにより、小学生の子どもを抱えるケニアの貧困家庭の自立支援と子どもたちの継続的な教育機会を獲得することをねらいとしています。

PLASでは、ただいま、このHOPE事業においてクラウドファンディングを実施しています!8月9日午前7時現在、14 人の方より630,000円の支援をいただいております!引き続き、目標金額1,500,000円にむけて頑張ってまいります。ご協力をお願いいたします。

以前、海外事業担当の藤原がHOPEに寄せる想いを掲載いたしました。

海外事業マネジャーがHOPEに寄せる想い -藤原祐希編-

https://www.plas-aids.org/blog/2022/07/22/52843

 

今回は海外事業担当の山口が、新事業HOPEができるまでの経緯や、養鶏事業の内容をご紹介致します!

 

 

◆養鶏事業をやる理由

 

PLASでは、エイズ孤児やHIV/AIDSの影響を受ける子どもたちを抱えるシングル家庭への生計向上支援を行っています。生計向上とは、収入を向上させるだけではなく、支出を減らし、収支のバランスを整えて家計を向上させることを指します。生計向上のやり方は多数あり、PLASでもこれまで農業、CAFEビジネス、サロンビジネスなど、受益者の特性や地域性に合わせてアプローチを選択してきました。

 

養鶏とは、「鶏を育てて売る」というビジネスです。養鶏ビジネスの利点には次のようなものがあげられます。

 

1.収益性が高い

現地では鶏肉も卵も高級品です。鶏肉は1羽600シル、卵は1つ12シルで売ることができます。ひよこ40羽からスタートした場合、肉や卵を売って5か月で約15000シル、次の5か月で約36000シルを得られると試算されました。鶏を増やすことができれば2-3倍の収益を得ることができます。

 

2.体の負担が少ない

農業は土を耕したり穴を掘ったりするため体力が必要ですが、養鶏は餌や水を変えたり掃除をするなど、体力があまりない高齢者やHIV陽性者、基礎疾患がある人でも取り組むことができます。

 

3.農業との相乗効果

すでに農業をやっている家庭が多く、育てている穀物を餌にすることができたり(餌代の節約)、鶏の糞は農業では肥料として活用できるので、いい野菜を育てることができます。

 

上記に加えて、割れた卵は自分の家族で食べて栄養を得ることができるといった、支出の減少・栄養状態の向上という効果も見込まれます。

 

 

◆養鶏事業ができるまで

 

今回、パートナー団体VIAGENCOと初めて養鶏事業を立ち上げました。養鶏は現地での需要が高く、パートナー団体から長年、「やりたい!」という声が上がっていました。

 

VIAGENCOと初めて事業を立ち上げるにあたり、昨年10月ごろから準備を進め、今年3月から事業を開始しました。

 

(1)事業形成ワークショップ

まず初めに、VIAGENCOスタッフと一緒に事業構想を練るワークショップを開催しました。どんな人を対象にするのか、事業のポイントはどこか、など意見を出し合い、スタッフ間で認識を共有し合いました。「収入が向上したとして、その後それがどう子どものために使われるかが重要だと思う」「教育費・養育費に使われるようにつなげたい」というこの事業で一番大事な視点についても確認することができました。

 

(2)家計調査

次に、実際に養鶏を行っている家庭を訪問し、鶏の育て方、一日の過ごし方、得られる収入など聞き取り調査を行いました。卵を羽化させる機械を自作している本格ビジネス派から、養鶏をはじめて1年以内のお母さんまで、様々な家庭を訪問し、養鶏のやり方について学びました。

 

(3)過去事業地の訪問

PLASが以前別のパートナー団体と行っていた養鶏事業の事業地を訪問し、約3年後の鶏舎や受益者の様子を観察しました。3年後の鶏舎を確認することで、使用する素材や建築方法の改善点を見つけたり、養鶏事業が今の生活にどうつながっているかを見ることができました。

 

(4)事業計画、予算の作成、プロジェクト合意

こうした情報収集のもと、パートナー団体とともにプロジェクト目標やタイムライン、予算案を作成しました。特に予算については、鶏舎や養鶏のサプライヤーに何件も足を運んで値段を調査したり、限られた予算の中でどこを優先しどこを削るべきかなど交渉を重ねました。パートナー団体スタッフとは何度もぶつかり、頭と気力を使う日々でしたが、未来の受益者の姿を思い浮かべながら話し合いを重ね、合意に至りました。

 

(写真:視察した過去プロジェクトの受益者と鶏舎。フェンスは破れていましたが下をトタンで補強しており、自分でメンテナンスしていました。)

 

 

◆養鶏ってどんなことをするの?

 

養鶏のプロセスは意外とシンプルです。

今回は生後2週間のひよこからスタートします。すでにいくつかのワクチンを摂取していているからです。さらに、温度管理が特に難しい生後数日を乗り越えており、育てやすいためです。受益者はえさと水を毎日朝と夕方に与え、鶏舎内を掃除します。ひよこは5か月ほどで売りに出せるまで成長し、卵も産むようになります。卵は売ることもできるし、羽化させてさらに数を増やして育てることもできます。

 

プロジェクトは次のように進んでいく予定です。

9月     鶏舎の資材調達

10月~11月 鶏舎建設

11月    受益者研修

12月~4月 養鶏ビジネス

 

4月ごろに養鶏を売りに出せるようになったあとは、5月から再度5か月サイクルで養鶏ビジネスを行っていきます。

(写真:養鶏舎)

ぜひこの事業を成功させ、ケニアのお母さんと子どもたちが未来を描けるよう、クラウドファンディングにご協力をお願いいたします!