PLASの現地活動ウガンダプロジェクト-PATH+プロジェクト-新型コロナウイルス緊急支援現地レポート

ウガンダレポート|HIVともに生きる140人と歩んだこの一年

PLASでは2018年より、ウガンダでのパートナー団体ヒーレコーズと共に、「HIV陽性者アドヒアランス向上支援の事業(通称:PATH+)」に取り組んできました。「アドヒアランス(adherence)」とは、「患者が治療方針の決定に賛同し積極的に治療を受ける」ことを意味します。この事業では、140人のHIVとともに生きる人々(HIV陽性の方々)の支援や治療にあたる医療施設のスタッフ向けの活動を行ってきました。

>>アドヒアランス向上事業について詳しくはこちら

 

新型コロナウイルス感染症が拡大し始めたのが2020年2月頃から。この事業は3年間の事業計画で、事業のちょうど3年目にあたる時期でした。そこで、事業計画を一部変更せざるを得なくなったのです。

今回は、PATH+事業の1年間について、そして新型コロナウイルス感染症がこの1年間の事業へもたらした影響をお伝えします。

子どもが空腹で泣いている

ウガンダでは、2020年3月ごろから新型コロナウイルス感染症拡大に伴うロックダウンにより、パートナーNGOは一時事務所閉鎖を強いられてしまいました。

突然のロックダウンで経済は悪化。住民は職を失い、それに加え物流が滞り物価が2倍にまで上がったものもあり、HIV陽性者は深刻な困窮状態に陥ってしまいました。

 

PATH+の受益者の140人のHIV陽性の方々も、そのような状況に。「1日に一回おかゆしか食べられない家庭がある」「子どもが空腹で泣いている」という報告を受け、PLASで何ができるか考えました。

命を繋ぐための食糧配布

抗HIV薬は、空腹時に飲むと頭痛などの激しい副作用が出てしまいます。そのため、食事を1日1食でも確実に確保できない環境にあるHIV陽性者は、抗HIV薬を飲むことをやめてしまう傾向があり、とても危険です。

 

当初は栄養摂取改善をする予定でしたが、それどころか、深刻な栄養不足に陥っていたため、140家庭(840名)に、3回にわたって食糧緊急支援を行いました。それに加え、新型コロナウイルス感染予防のための石鹸を配布しました。

久しぶりにおなかいっぱい食べることができた

2021年2月に、村を訪問して食糧配布について聞き取り調査を行いました。

その際に耳にしたのは、

「2、3ヶ月ぶりに、おなかいっぱいご飯を食べることができた」

「政府からの食糧支援は首都近郊のみで、この地域では一切支援がなかったので、嬉しかった」

という安堵の声でした。

正しい情報を得ることができない

テレビやラジオが家庭にない住民は、新型コロナウイルス感染症についての正しい情報が得られる、人づてに聞いた噂しか情報がない人もいました。

そこで、PATH+事業でトレーニングを行ったヘルスワーカーが講師になり、4つの村(140人)に対し、感染予防啓発研修を実施しました。

感染ルートや感染予防策を扱い、「手首まで」「指の間も」洗うように細かい指導をすることができました。また、一緒に住んでいる家族にも、手洗い方法を伝えてもらうことで、情報がなく混乱が起きていた多くの人にリーチすることができました。

自宅で野菜を収穫し、食糧の確保

ロックダウンの影響で一時行えていたなかった、HIV陽性者グループ向けの農業研修も2020年9月に再開しました。

参加者からは積極的に質問が出て、農業に関する知識を求めていることがわかりました。

彼らが住む場所は、街の中心街から離れており、今まで最新の農業情報を得られていませんでしたが、最近流行っている病気や無農薬の害虫駆除の情報を共有することができました。

 

また、食糧の値段が高騰する中で、自宅で野菜を収穫することで、食糧の確保を目指しました。栄養価が高く、収穫周期の短い葉野菜の種もかかせません。

現地パートナーNGOとの連携の大切さ

新型コロナウイルス感染症拡大により、日本からウガンダへの渡航ができなかった間も、現地保健省と信頼歓迎にある現地パートナーNGOが、第一線で活動してくれたことで、私たちのPATH+事業の活動の幅を広げることができました。

感染予防に努めながら、保健省からの情報を住民に届け、不安感を抱えていた住民に精神的なサポートもすることができました。

 

引き続きPLASは、ウガンダ、ケニアに支援を届けてまいります。応援の程、どうぞよろしくお願いいたします。

 

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