PLASの現地活動お知らせ現地レポート

[12/14更新]新型コロナウイルスの感染拡大に伴う事業の影響に関して

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大していることを受けて、PLASでは、4月より<新型コロナウイルス>アフリカ緊急支援 「生きる」ために食糧と手洗いを届けたいを始めました。多くの方にご支援頂き、ウガンダ・ケニアにいる子どもとその家族に食糧と石鹸を届けることができました。ありがとうございます。

世界的に新型コロナウィルス感染が拡大する中で、アフリカにおいても感染が拡大し、多くの人の生活に影響が出ています。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う事業の影響に関して最新の情報をご報告いたします。

新型コロナウイルスの感染状況と生活への影響

感染状況

ケニアの感染数:90,305名、死亡数:15,368名(2020年12月14日時点、WHO発表)
https://www.who.int/countries/ken/

ウガンダの感染数:27,071名、死亡数:220名(2020年12月14日時点、WHO発表)
https://www.who.int/countries/uga/

 

新型コロナウイルスの生活への影響

2020年7月上旬から、徐々に東アフリカ各国で規制緩和が行われました。ケニアでは首都・ナイロビを中心とした一部ロックダウンが解除され、ウガンダでも交通機関(ミニバスやバイクタクシー)を使った移動できるようになり、夜間外出禁止は続いていますが、ロックダウンの時間は短くなっています。

また、これらの規制緩和にともない、ウガンダ・ケニアでは新型コロナウイルス感染症の感染者数の増加が確認されていますが、陽性率については下がってきています。

子どもたちの就学の状況については、わたしたちが支援する子どもたちの通う学校も含めて、すべての学校が3月以降閉鎖されていました。しかし、10月に入り学校を再開するための準備が始まっています。

 

ロックダウンや規制緩和はされたものの、生活の影響は依然として以下のようなものがあります。

  • 小売りの仕事が出来ず、収入がなくなる
  • 食糧の値段高騰(野菜が1.5倍~2倍になっているものも)
  • 交通手段の値段高騰(搭乗数に制限があり、倍額)
  • 子どもが学校に通えない
  • 新型コロナウイルス感染症に対する正しい知識が得られない

 

現地パートナーNGOと行う事業実施にも一部影響が出ており、事業が中断、遅延しています。現在、海外事業マネージャーは日本に帰国しており、PLAS職員は現地におりません。

事業の中断や遅れは、わたしたちPLASにとっても、そして何より受益者の方々にとっても苦しく悔しいことです。ですが、受益者や現地団体スタッフ、そして活動している地域社会の安全と安心を最優先し、事業を臨機応変に継続していきます。

現時点での各事業の状況と、同事業の受益者への緊急支援の実施状況は下記のようになっています。

ウガンダ事業への影響

HIV陽性者のアドヒアランス向上支援(PATH+事業)

<事業の状況>

事業開始時期が遅延していましたが、2020年7月に開始することができました。8月にヘルスセンターより講師を呼び、街の中心街から離れた村々に住むHIV陽性者150名超に、COVID-19予防対策について啓発し、追加の活動を12月に行っています。

<緊急支援の状況>

6月、HIV陽性者4グループ140名に食糧と石鹸の配布。

10月、HIV陽性者4グループ140名に食糧と石鹸の配布。

 

HIV陽性シングルマザーのカフェ収入向上を通じたエイズ孤児支援事業(CAFE事業)

<事業の状況>

HIV陽性のシングルマザーにより運営されるカフェは飲食店であり、ロックダウン中も、政府からの営業停止命令は出ていないため、現在営業中です。客足が途絶え気味でしたが、クリスマスに向けて少しずつ戻ってきています。

<緊急支援の状況>

5月、カフェを運営しているシングルマザー14世帯に食糧と石鹸を配布。

8月、カフェを運営しているシングルマザー14世帯に食糧と石鹸を配布。

また緊急支援の一環として、緊急支援食糧パッケージにこちらのカフェのドーナツを入れています。カフェの経営するシングルマザーに生産してもらったドーナッツをPLASが買い上げ、緊急支援食糧として配布しています。こちらで得た利益で、通常ビジネスで必要な材料を購入できるようになっています。

 

HIV陽性ユースに対する生活向上のための技術訓練事業(BRIGHT事業)

<事業の状況>

HIV陽性ユースはグループでヘアドレッシングとスナック販売を中心としたビジネスを始めていましたが、政府からの営業停止命令により、3月末から7月上旬まで店舗を開くことができませんでした。7月上旬より、主なビジネスであるヘアドレッシングのサービスの提供が許可されたため、ビジネスを再開しています。売上が低い状態ですが、クリスマスに向けて12月は売上が多少戻る予想をしています。

<緊急支援の状況>

5月、HIV陽性ユース33世帯に食糧と石鹸を配布。

8月、HIV陽性ユース33世帯に食糧と石鹸を配布。

 

HIV陽性者家庭の生計向上・栄養改善のための在来種野菜栽培支援(SHINE事業)

<事業の状況>

HIV陽性グループによる農業活動は、全5サイトで実施できるようになりました。8月に水タンクを購入し、設置しました。水道や井戸のない地域であるため、雨水を水タンクに貯めることにより、生活水・農業水を得ることができるようになりました。

<緊急支援の状況>

6月、HIV陽性者50世帯に食糧と石鹸を配布。

10月、HIV陽性者50世帯に食糧と石鹸を配布予定。

ケニア事業への影響

持続可能な生計のためのシングル家庭の農業強化事業(FRESH事業)

<事業の状況>

政府の規制緩和により集会が開けるようになったため、感染予防策を取りながら、9月に家畜研修を行いました。予定通り本事業については9月で完了させることができました。

<緊急支援の状況>

4月、脆弱な環境にある90家庭に食糧と石鹸を配布。また、14箇所の村長事務所に手洗い場を設置し、啓発活動を実施。

8月、脆弱な環境にある90家庭に食糧と石鹸を配布。

 

エイズ孤児を抱える貧困家庭の生計向上とキャリアプランニング支援事業(JICA草の根技術協力事業)

海外事業マネージャーが現地へ渡航できないため、事業により支援をする人たちの選定を延期しています。日本と現地でそれぞれに、カウンセラー育成研修マニュアル作成やカウンセラーモジュールの見直し作業、受益者選定の基準設定ワークショップの準備をすすめています。10~11月はCOVID-19対策活動として、公共学校15校やヘルスセンター18カ所、病院1ヵ所に手洗い用水タンク、マスクや体温計を設置する支援を行いました。現在、予防啓発のポスターを製作中で、今後、学校やヘルスセンターに感染症予防を促進する活動を行う予定です。

 

現地パートナ団体に関して

現地パートナー団体ビアジェンコのスタッフが11月18日COVID-19に感染したことがわかり、現地保健省の指示の下、感染スタッフの隔離、他のスタッフの在宅ワーク対応、事務所の14日間閉鎖を実施しました。体調は無事に回復し、12月7日に再検査を実施し、陰性が確認され、再び活動を開始いたしました。

 

これまで感染予防ガイドラインを作成し、それらに基づいた活動展開を行ってきました。今後も感染予防を行いながら活動をつづけてまいります。主な予防対策は下記のようなものです。

①マスク着用を必須とします。
②事務所に入る前には手洗いか除菌ジェルを使用します。
③家庭訪問時には除菌ジェルを携帯し、マスク着用を必須とします。
④行政や購入先のサプライヤーとは事前に電話で打ち合せをし、対面での打ち合わせ時間を少なくします。
⑤体調が悪い場合、発熱がある場合は出勤しません。
⑥スタッフで感染者が出た場合は、事務所の閉鎖する、全スタッフをリモートワークに切り替えます。今回も同様の対応を取りました。

 

ご支援者のみなさまにはご心配をおかけしてしまい申し訳ございません。

今後も感染予防に努めながら、皆様のご寄付、ご支援を、しっかりと現場に届けてまいります。

スタッフ一丸となって、今回の教訓を生かしながら、さらに活動に邁進してまいります。

 

重ねまして、ご支援、応援くださっているみなさんには、心より感謝申し上げます。現在の状況をご理解いただき、引き続き応援いただけますと幸いです。

 

また、アフリカ緊急支援を必要としている人がまだまだたくさんいらっしゃいます。ぜひ、緊急支援にご支援、ご協力の程どうぞよろしくお願いいたします。