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【特集】 アフリカの花屋・萩生田愛さんインタビュー(2/2)

萩生田さんは、アメリカの大学で国際関係学を専攻し、そこでアフリカの貧困問題に触れました。大学卒業後、アフリカへは「いつか行きたい」思いをもちつつ、まずは一人前の社会人なろうと民間企業へ就職します。

その7年後、その企業のアフリカ関連プロジェクトをきっかけにアフリカへの思いが再燃。退職して新たな道へ進むことを決断してケニアに渡り、美しいバラの花と出会いました。(インタビュー前編はこちら

ケニア渡航~「自分の目で見た時に、自分で何を感じるか知りたかった」

バラの花
萩生田さんは、渡航したケニアで美しいバラに出会いました。

『アメリカに渡った時にはあまり不安や抵抗は感じませんでしたか?』

英語が通じるのか、初めての一人暮らしは大丈夫か、多少不安はありましたけど、期待やワクワク感の方が圧倒的に大きかったですね。

 

『ケニアに渡った時も同じような感覚でしたか?』

ケニアに渡るときは衛生面や治安面での不安はありました。でも29歳で会社をやめてまでも行くと決めたので、生半可な気持ちで行って2,3日で帰るようなことは絶対できないし、何があっても何かを見つけるまでは滞在するんだという覚悟のような気持ちでした。

 

『どんなことが萩生田さんのそういう決断を可能にしたのでしょうか』

勤めていた企業の仕事はとても面白くチャレンジングで、上司や同僚はもちろん、収入やキャリアを考えてもとても恵まれていました。そんな環境を手放そうとすることに、周囲からは心配もされました。

でも、仕事すらない・食べるものすらないというアフリカの貧困問題を知りながらここで行かないのは、ぬるま湯の人生を選んでいることなんじゃないかと感じたのです。
そして、実際に起こっている問題をこの目で見て、何か自分でできるアクションが見つかるのではないか、と。そこに自分の成長があるのだと思ったのです。

もちろん、たとえ貧困の現場を見ても心が動かなかった可能性もあります。
それでも、見た時に自分がどう思うかは自分でも実際に見てみないとわかりません。行って、自分の目で見た時に、自分が何を感じるかを知りたかったんです。
いつか死ぬときに「やっぱり行けばよかった」と思いたくなかったので。

 

『貧困問題とも向き合いつつ、萩生田さんご自身とも向き合っている印象を受けました。』

そうですね。自分がきちんとしていないと、人のためにできることは何もないと思うのです。

その時の気持ちとしては、自分のすべてを捨てて誰かのために何かをしようという感覚ではありませんでした。
自分の中でブレークスルーを重ねて新しい道やキャリアを拓きたいという欲求も持ちながら、貧困などの問題を自分の目で見て取り組むことで、自分と誰かの両方のためになる第三道が見つかるんじゃないかという期待を持っていました。

それを(結果的に)今の仕事で実現しているのだと思います。

 

AFRIKA ROSE創業~「できるという確証はないけど、やらないという道もない。とりあえずやってみよう」

『こんなことをしたいという思いがある一方、ビジネスとしてやっていけるんだろうかといった不安はなかったんですか? 』

もちろん不安はありました。一般的な家庭で育ち、周囲に起業家はいませんでしたし、花屋の経験も輸入の経験もありません。全てが初めてだったので!
でも、できるという確証はないけど、やらないという道もない。とりあえずやってみよう。そしてダメだったら仕方ない――そんなスタンスで、個人事業主としてスタートしました。

自己資金30万円の中から海外送金をしてバラを輸入して、Facebookの(有料広告ではない)投稿で友人に呼びかけました。
「今週末に代々木公園でバラを売ります
 アフリカからすごく素敵なバラを輸入しました
 帰国した近況報告も含めて会いにきてください!」

その代々木公園の初めての出店では、来てくれた人たちから「本当にすごいバラだね」と言ってもらえて、口コミも少しずつ広がりました。
一方で、その2日間の出店は赤字で在庫も余ってしまい、このままでは事業が成り立たないと思いました。

そこでネット通販のビジネスモデルに切り替えたのです。あらかじめ予約いただいた分を月に1回発注することで、在庫を抱えず最初にキャッシュが入るので、事業は継続しやすくなりました。
しかし、月1回の輸入だと、今度はお客様の特別な日とタイミングが合わず、お花を贈りたいというご希望に沿えないこともありました。
同時に、ホームページをご覧いただいたお客様から「実際にお花を見て買いたい」と言っていただくこともあり、またちょうど実店舗オープンのアドバイスをいただいたこともあって、2015年に今の店舗を開く決断をし、今日に至っています。

最初から詳細な事業計画があったわけではありません。
もちろん市場に受け入れられる努力はしていましたが、最初は固く考えすぎずに「いいものだから輸入して、いいなと思ってくれる人がいたらビジネスになる」という気持ちで前に一歩踏み出して、その延長線上に今があるという感じです。

AFRIKAROSEホームページ
ホームページを見ながら誰かのことを考えていると楽しい気持ちに。

『お店を開かれてからの数年を振り返って、どう思われますか?』

あっという間だったという気持ちもありますが、特に最初のころを思い返すと長かったという思いもあります。

当時は実家に住んでいて自分のお給料も出せず、毎日交流会に参加して名刺を配り歩いていました。
バラという素敵で華やかなものを扱っている以上、収入はなくてもつらい表情はできません。ハクチョウのように水の上では優雅に見せつつ、水面下ではもがくように一生懸命こいでこいで…この時期が一番つらかったですね。

それでも3年は自己資金で頑張ろうと決めていました。そうして3年目が終わろうとする頃、今のビジネスパートナーの田中(フラワーデザイナーの田中秀行氏)とも知り合えて、だんだん色々な人が応援してくれるようになり、事業としても形になってきました。

(そうして、素敵な人が集まる今日のAFRIKA ROSEがあるんですね)

 

萩生田さんにとってのPositive Living

『最後に、私たちPLASという団体の名前はPositive Living through AIDS orphan Supportの略です。
萩生田さんにとってPositive Living(前向きに生きる・前向きな生き方)とはどのようななものですか?』

私は周囲の人からスーパーポジティブと言われますが、それは物事の捉え方がそうさせているのではないでしょうか。
たとえ同じ事実でも「イヤだな、どうやって逃げよう」と思うより、「どういう風にこのチャンスを生かして楽しく生きようか」と思ったほうが楽しいし、周りの人にも楽しいと思ってもらえます。

私と関わる人には、私と関わることで元気になったとか、希望がもてるようになったとか、そういう風に思ってほしいです。
そして、そうあるためには自分はどうあろうかと、無意識に考えながら生きているのだと思います。

 

(今日は素敵な時間をありがとうございました!)

【インタビュアー後記】
誰かのことを思うことで、こんなにも人の表情や雰囲気が素敵に明るく力強く包まれるのかと思いました。萩生田さんも、お店も、お店のバラ達も本当に素敵で、インタビューの間の30分間を純粋に楽しませていただきました…!(PLASファンドレイズマネージャー 和泉直孝)

5月19日(土)に東京で開催されるPLASのチャリティーパーティーで、萩生田さんにはトークセッションにご登壇いただきます!

萩生田愛さんプロフィール

萩生田愛さん1981年、東京生まれ。
米国大学卒業後、大手製薬会社勤務を経て、2011 年アフリカ・ケニアに渡る。
「援助に慣れきっている現地の姿」を目の当たりにし、援助ではなくビジネスとして 対等な立場で関わりたいという結論に至る。
アフリカの自然や人々や文化の豊かさと 生命力溢れる薔薇に魅了され、2012 年「アフリカの花屋」を立ち上げる。
2015年10月アフリカ薔薇専門店「AFRIKA ROSE」を東京広尾にオープン。
草月流いけばな師範、Jane Packer Flower Arrangement School 修了。
メディア掲載:フジテレビ「ノンストップ」、TBS「王様のブランチ」、日本テレビ「NEWS ZERO」、日経新聞、Harvard
Business Review、など。

AFRIKA ROSE ホームページ http://afrikarose.com/

著書『アフリカローズ: 幸せになる奇蹟のバラ』(Amazonページへ)

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