PLASの現地活動Positive Living現地レポート

ウガンダレポート|他者への怒りに支配されずに、対話する姿勢

ウガンダのジンジャ県で行っているペーパービーズによる生計向上事業では、エイズ孤児を抱えるHIV陽性のシングルマザーたちを支援しています。

今回ご紹介するのは、Mariamさん、39歳。
2004年に夫がHIV/エイズで亡くなり、4人の子どもを育てていました。その後Mariamさん自身の兄弟のお子さんを一人引き取り、現在は5人の子どもたちを育てています。

Mariamさんの子どもたち

子どもは現在、20歳(高等学校2年)、16歳(高等学校2年)、15歳(初等学校5年)、13歳(初等学校6年)、8歳(初等学校2年)。
経済的に困難を抱えたことなどから、子どもが数回の留年したこともあったそうですが、今、子どもたちはみな、学校に通うことができています。
支援開始当時から、収入は2倍以上になり、貯蓄のことも考えることができるようになりました。
また、ペーパービーズに制作にとどまらず、ヤギを買い、ミルク販売などで収入拡大を目指しています。

Mariamさんと、ペーパービーズによる収入で投資したヤギ

Mariamさんの家は入口を入るとすぐ居間があり、その脇に寝室が1部屋あるだけの小さな作り。そこで子ども5人と暮らしています。
家の壁にはMariamさんのモットーが掲げられています。
「感情をスーツケースに入れなさい。例え隣人が自分に悪い事をしても。その人と対話をしなさい。」というような内容でした。

Mariamさんの家の壁にあったモットー

聞くと、MariamさんはHIVを理由に親戚から嫌がらせを受け、それに対して腹が立ったり、悲しい思いをしたりしたそうです。
だからといって仕返しをしたり、怒りを持ち続けるのではなく、このモットーを見ることで自分の気持ちを落ち着けるといいます。

「これはなんだろう?」と何気なく聞いた、小さなポスター。こんなストーリーが隠れているとは、思いもしませんでした。
こうした現地でのささいな出来事から、大切な人としての姿勢を学ぶことは少なくありません。
困難な状況にあっても、相手を責めずに、相手と対話し、相互理解を図る姿勢。そして、怒りに支配されずに、自分自身を律しようとする姿勢に、心が震えました。

当日通訳をしてくれたパートナー団体代表のJoyさんと子どもたち