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【Weekly News/2007-04-18】ロシア:偏見にさらされるエイズ孤児

サンクトペテルブルクから車で1時間、
緑溢れる衛星都市、Ust Izhoraでボロニン医師はある強い偏見と戦っている。
ボロニン医師が勤める感染症を扱う共和病院で
6歳のダーシャちゃんが友だちと一緒に積み木で遊んでいる。
みんな健康で保護されている子どもたちだが
この施設にいる全ての子供は親に見捨てられてしまったエイズ孤児たちだ。
政府の統計によると、ロシアでは
過去10年間で2万1000人の子どもがHIV陽性の母親から生まれている。
そのうち、10%が捨て子となり、さらにそのうちの5%しか養子として受け入れられていない。
サンクトペテルブルクはロシア国内でHIVの感染者数が最も多い都市である。
プーチン大統領は2005年、2006年度のHIV/AIDSに関する予算を
前年の20倍にあたる1億500万ドルに大幅に増額するなど対策を取ってきた。
現在では早期のHIV診断がいくつかの病院で可能になっているなか、
時代遅れのHIV検査で診断が下されるまで
見捨てられた多くの子どもたちは生後18ヶ月の間、隔離病棟に入れられてしまうことも少なくない。
「まるでマスクを被っているかのように感情のない、無表情の子どもたちが来ることがあります。
彼らはそれまで人と接することのない小さな部屋にずっといたのですから」とボロニン医師は言う。
「肉体的には問題ないが、精神面では生涯引きずる傷を負っている。」
HIVに関する知識の低さは医療従事者にまで及んでいる。
病院がサンクトペテルブルク医療教育委員会に孤児たちが学校に通う許可を申請すると
勤務時間外に来るように言い渡され、子どもをベンチに座らせるなと通達してきたという。
モスクワを拠点とするフォーカス・メディア財団が2005年に実施した調査によると
全体の60%の人が、HIV陽性のウェイターがいるレストランで食事をすると感染すると感じており、
56%の人がキスでも感染すると思い込んでいるという。
財団の理事であるアレキシバさんは、政府が国営テレビに
福祉や病気に対する正しい知識を放映する事を禁じてきたのが
この意識の低さや偏見につながっているという。
官僚政治の混乱が人々を死に追いやっている。
連邦政府は過ちを認めたものの、HIV/AIDS対策費の増額によって問題は解決するとしている。
抗レトロウィルス薬療法(ART)や他団体へのさらなる出資に加え
教育キャンペーンなどにも力をいれ、スティグマを解消していくとしている。
「長い道のりですが、政府がやっと偏見を打ち崩す第一歩を踏み出してくれました」
とボロニン博士は語った。

原題: AIDS orphans in Russia face bias, caregivers say
日付: July 8, 2006
出典: The Boston Globe
URL :http://www.boston.com/news/world/europe/articles/2006/07/08/aids_orphans_in_russia_face_bias_caregivers_say/

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