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【Weekly News/2006-12-22】ウガンダ:ABC戦略は、子どもたちには無関係

今年のエイズ・デーが過ぎ去った。
「子どもたちのために団結、エイズに備えるための団結」
という主張の裏にある情熱は、具体的な戦略または方針の実現には至っていない。

政治家と保健省職員はABC戦略(禁欲=Abstinence、誠実=Be faithful、コンドーム使用=Condom)の偉業について見栄を張っていることから推測するに、この戦略は子どものエイズ問題も対象になっている。
しかし、これは誤った推測である。
成人に広まるHIV/AIDSを抑えることに若干の成功がウガンダにはあるが、この成功の要因がABC戦略のみにあると考えることはあまりに安易過ぎる。
HIV/AIDS減少の要因となった4つの鍵は、開放性、首尾一貫した市民の動員と教育への組織的アプローチ、様々な分野との協同、そして無類の資源動員だ。
これらの要因は、ABC方式には含まれていない。

しかし、これらの要因を含んだ拡張されたバージョンでさえ、ABC戦略は子どもにおけるHIV/AIDSの処置には主に無関係なままである。
エイズと共に生きている人々の10%は、12歳未満の子どもたち。
彼らのウイルス伝染の主なルートは、子宮内、出産時、または授乳による母子感染だ。
このルートは、現在ウガンダにおいて新規感染の22%に上る。
ABC戦略はセックスを防ぐか、制限することであるが、子どもたちにおけるHIV/AIDSの大きな挑戦は彼らの両親の性行為の後に発生し、それは性には無関係である。

ウガンダの少なくとも250万人の子どもたちは、感染しているか、エイズに影響を受けた孤児だ。病気としてのHIV/AIDSに苦しむことに加えて、これらの子どもたちは、生存、成長と発達の大きな挑戦に直面している。
彼らの健康、栄養、教育、愛情、および保護の基本的ニーズは危機にひんしている。
彼らは、拒絶、恐怖、差別、孤独感や憂鬱を経験し、HIV/AIDSに感染しているか影響を受けた子どもたちは虐待されることが多く、家族からはよく縁を切られて捨てられてしまう。
大部分の子どもたちには、血液をテストしカウンセリングを受ける機会がない。
子どものHIV/AIDSカウンセリングが利用できる施設も、ほんの一握りしかない。
このサービスは断片的で、政策立案者にとって特に鍵となるサービスとしての評価もされていない上、しっかりと監督されておらず、多くの場合素人によって行われている。
数少ない児童カウンセラーは、しばしば感情的なストレスを経験し、「燃え尽き」てしまうが、容易に代役を立てることもできないでいる。

また、協力体制ができていないため両親や介護者が医療従事者に子どもたちのHIV状態が発覚してしまうことを恐れていたり、財源不足のため子どもに親しみやすいカウンセリングセンターを設立できないなどの課題もある。
したがって、若干強化されたとしてもABC戦略は子どもたちのHIV/AIDSの役には立たないだろう。
子どもたちのHIV/AIDSに取り組む包括的な戦略は、6方向から行うべきだ。

まず、母子感染防止(PMTCT)を強化し、全ての妊婦に適用されるよう拡大されなければならない。
PMTCTが出産前クリニック(ANC)に通っている78%の妊婦に適用されているというのは良い出発点だが、クリニックに通わない人々への対応をする必要がある。
また、HIV陽性の妊婦のうち56%だけしかNevirapine(母子感染防止薬)を受け取っていない。これは短期間で80%まで改善されなければならないだろう。

第2に、医療施設へ訪れる全ての子どもたちに定期的にHIV検査を確実にすることが重要だ。
これを支援するために研究能力、技術やシステムなど、タイムリーで信頼できる診断を提供するために確立する必要がある。
低位の医療従事者に訓練や経済的支援を行い、HIV/AIDSの診断や管理を可能にすることは重要だろう。
また、HIV/AIDSの臨床診断基準が確立され、研究結果によって時々更新される必要がある。
それでも、子どもたちのHIV感染は見逃されるかもしれない。したがって決定的な診断がない場合、HIV感染の兆候がしっかりと除かれるまで子どもたちはARV治療を始められるべきだろう。

第3に、子どもたちのカウンセリングを包括的に実施する必要がある。
HIV 感染の疑いがあったり、検査を希望する12歳までの子どもは検査されなければならない。
彼らは親、または保護者に付き添われるべきだが、12歳以上の子どもが保護者不在での検査を希望するなら可能であるべきだ。ただその場合、保護者から同意を得られるようカウンセリングを行うことが必要になるだろう。
そして、医療施設での定期的なカウンセリングと検査は子どもに親しみやすいよう改善しなくてはならない。
カウンセリングは心理的サポートはもちろん、ARV治療や日常でのふるまいについてのアドバイスも提供するべきだ。 また、病気の対処法はもちろん、スティグマと差別や周囲との関係、12歳以上の子どものHIV検査に対する意思統一、検査結果の守秘性など、HIV/AIDSを取り巻く様々な問題を対象に実施ことが必要だろう。

第4に、可能な限り早期の段階でHIV/AIDSの子どもたちにARV治療を始めなければならない。
早期治療は、より良い反応と早い改善に帰着する。それは日和見感染症などの予防と治療も可能にする。さらに、それは同時に親の教育をも可能にし、社会的で感情的なサポートの利用を容易する。

第5に、社会心理的、感情的で具体的な支援の包括的なプログラムが必要だ。
HIVに影響を受けた子どもたちは、定期的カウンセリング、保護、および愛情に触れる手段を持つべきで、衣服、食料、学校教育などが必要となる。
孤児と傷つき影響を受けやすい子どもたちプログラムはこれらの要求に応ずる試みであるが、ひどく不十分で、拡大を必要としている。

最後に、HIV/AIDSに影響を受ける子どもたちがこうむる差別、スティグマと虐待と戦う計画は、確立され、強化し、拡大される必要がある。

原題: The ABC strategy is irrelevant to children
日付: December 17, 2006
出典: The New Vision
URL : http://www.newvision.co.ug/D/8/459/538393?highlight&q=children%20hiv

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