PLASの現地活動現地レポート

ケニアレポート-ケニアでも日本でも発揮される住民の力-

4月よりインターンとしてキスム事務所で働いている増田です。

今日は啓発リーダー達が地域でどのような活躍をしているのか、かつての日本における母子保健活動と照らし合わせてお伝えしたいと思います。

啓発リーダーとはHIV感染予防についての啓発活動を行っているメンバーのことです。彼らは住民から公募をして選出された人達で、すなわちその地域に住んでいる住民の一人であり、聴衆者にとって身近な存在。そのような彼らが、住民に限りなく近い目線でプラスの行う研修で学んだ知識を伝えてくれています。

月に一度行われる啓発リーダー同士の会議で、このような言葉が挙がっていました。
「この活動で伝えていることは大切なことだから、また来てほしいと言われた」
「活動以外の場所で、HIV/エイズについて教えてほしいと言われて話をしたら多くの人がそれを聞きに集まってきた」
「妊婦さんに病院へ行くよう勧めて、無事に出産したという報告をもらった」
「義理の娘が妊娠しているが病院に行くよう話を勧めてほしい」

反省会で成果や課題を話し合う啓発リーダー達。

 

これらの成果を聞いていると、啓発リーダーが地域の人達から頼りがいのある存在になっていることがわかります。
HIV感染はプライバシーに深く関わることであるし、妊娠出産育児も生活に密着したことで、相談のために病院へ直接行くことを躊躇する人も多いと思います。もしくは、機会がなければ何が重要なことなのかの情報も得ることができない…そんな時「身近の詳しい人」が仲介役となって入ってくれることは住民が医療サービスに辿り着くための第一歩です。

実は日本も、そのような地域に根差した住民達の努力のおかげで今があります。
戦後、日本の母子保健指標というのは目覚ましい改善を見せてきました。そのための様々な要因のうち一つは、住民参加活動だと言われています。
中でも有名なのは昭和9年に民間団体が行った愛育班活動というもので、地域の婦人ボランティアが保健医療者から講習を受けて家庭訪問・啓蒙活動を行っていました。

地域で活動する愛育班(大分県由布市)

 

 

後にこの草の根の実践活動の成果が認められ、現在は母子保健推進員として地方自治体で活動を行っています。

いつかここケニアでも、プラスの育成している啓発リーダー達の活動が住民と医療をつなぐ架け橋になって、未来の子ども達の健康につながったら良いなと思っています。


文責 増田智里