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【Weekly News】タンザニア:家族計画とHIVケアは一緒に

タンザニアで行われている家族計画に関するプロジェクトでは、地域のヘルスワーカーがHIV陽性の男女を対象に、家族計画と同時に望まない妊娠やHIVの母子感染をどう防ぐか、などを教えている。

首都、ダルエスサラームでコミュニティヘルスワーカーとして働くMargaret Mapundaは次のように話す。「私の知るカップルの多くは避妊の方法を知らず、社会の目を気にするためか誰かに聞くこともほとんどない。多くはHIVに感染している。HIVの母子感染も心配されるところだが、出産はとりあえず、伝統的な方法でお産を手助けする地域の産婆のところへ行く人が多い」ということだ。

2009年のとある研究によると、家族計画のカウンセリングは、望まない妊娠やHIV感染拡大を防ぐ意味でもとても重要。HIVテストを実施するクリニックなどが行えば、HIVケアも同時に行えるのでなおいいという。2009年のユニセフのレポートによると、タンザニアでは毎年13万人にも及ぶHIV陽性の女性が妊娠している。

Pathfinder International(家族計画に関するNGO)による2008年の研究によると、“お産の手助けのみでなく、家族計画やHIVのカウンセリングも同時にしたい”と考える産婆も多いという。ただ、適切な訓練を受けていないからできないのだそうだ。

同NGO、Judith Rwakyendelaは産婆の存在の大きさを次のように話す。「地域でお産の手助けをする産婆は、HIV陽性者と接する機会が、実は誰よりも多いのかもしれない」。彼女たちは妊娠したHIV患者にとって一番近い存在だから、産婆が家族計画やHIVの母子感染についての話もできれば、妊産婦にとってもよいのではないか。

ダルエスサラームで生活するとある夫婦は、5人の子どもをもつ。政府の管理する病院では費用がかかるから、地域の小さなクリニックで出産してきたという。彼らは今、ヘルスワーカーのカウンセリングを受け、避妊をしているそうだ。

この例から見ても、地域のクリニックや産婆、ヘルスワーカーは、地元の人にとって身近な存在だと言える。家族計画・出産・HIVカウンセリングなどを総合して引き受けられる存在があれば、HIVケアの実施や、HIV感染拡大を防ぐ意味でもとても大きな役割を果たすと考えられる。

ヘルスワーカーのMapundaは“家族計画やHIVケアを考える時、男性の協力も必要だ”と強調する。 HIV感染の事実を夫に伝えず、夫に知られないようカウンセリングを受けにくる女性も多いそうだ。夫がHIV感染しているかを知らない女性も多い。HIV/AIDSがまだまだ社会できちんと理解されていない今、男女共に、家族計画の相談やお産、HIVケアが総合的に受けられる存在や仕組みがあるといい。大きな挑戦だが、できることからやっていくしかない。Mapundaは決意を新たにしている。
(訳:大場菜生子)

原題:Merging family planning and HIV services
日付:March 1, 2010
出典:IRIN News
URL:http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=88263