未分類

ケニア共和国 現地パートナーNGOによる活動実施費用の一部横領についてのお詫びとご報告

当会がケニア共和国で実施する「ホマベイ郡におけるHIV陽性シングルマザー家庭の生計向上を通じたエイズ孤児支援事業」において、現地パートナーNGO(以下パートナー団体)職員による活動実施費用の一部横領が確認されました。

皆様からお預かりした大切なご寄付によって成り立つ現地での支援活動において、このような事態を未然に防ぐことができなかったこと、深くお詫び申し上げます。

当会ではパートナー団体職員による横領を確認した時点で、パートナー団体代表から聞き取りを行いました。その結果を踏まえ、当会理事会にて本事業およびパートナー団体との今後の活動方針と再発防止策について協議し、業務管理体制が不十分であったことを認識し、深く反省しております。

今後このようなことが二度と起こらないために、再発防止策に取り組むと共に、事業運営の改善に努めて参ります。また、本件から学び得たことを教訓とし、当会が目指す「HIV/エイズに影響を受ける子どもたちが未来を切り拓ける社会」を実現するために、今後一層の努力をして参ります。

理事、職員一同ともに深くお詫び申し上げますと共に、今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

パートナー団体による活動実施費用の一部横領の経緯について

当会では、2016年より、ケニア共和国ホマベイ郡において、ケニア政府に登録された現地NGOをパートナー団体として、HIV陽性シングルマザー家庭の生計向上を通じたエイズ孤児支援を開始いたしました。

この事業では、エイズ孤児を抱えるシングルマザー家庭が生計向上することで、子どもの教育費を確保し、学校に通い続けられるように支援することを目的に開始いたしました。単に教育費を奨学金として提供するのではなく、家庭が生計向上するためのキャパシティを身に付けることで、長期に渡ってプロジェクトの成果を継続させることが目的です。

本事業は、パートナー団体の担当職員から定期的に当会に送られてくる報告書および出張時のモニタリングによって事業の進捗を確認していました。パートナー団体担当職員の報告書では、事業は進捗していると報告されてきましたが、2017年2月に当会職員が現地を訪問した際に、事業の遅れが見られ、本事業を担当するパートナー団体職員からは実施されていると報告を受けていた業務の一部が、実際には実施されていなかったことが判明いたしました。また、本事業のために当会よりパートナー団体に送金した金額の一部(日本円で約30万円相当)がパートナー団体職員に横領されていたことが判明、この職員は本件が明るみに出ると同時に失踪しました。

その後、パートナー団体代表と当会の間で、一職員の横領に帰結させるのではなく、横領を招いたパートナー団体の組織としての課題、原因と責任、今後のパートナーシップについて議論を重ねて参りました。
パートナー団体における業務管理面での責任を認識し、横領された約30万円のうち交渉時にてパートナー団体が弁償できる最高額であった16万円を弁償し、既に開始されていた事業の継続を優先するために残額を当会代表理事および事務局長理事の賞与を以って補てんすることとしました。

今回の不祥事を招いた原因と責任

当会のパートナー型事業では、パートナー団体の人事をはじめとする組織体制はパートナー団体の自主性を尊重し、過剰な介入をしないよう努めておりましたが、パートナー団体に対する会計管理において十分な検証・改善の要請が徹底されてこなかったことが原因の一つだと認識しております。
また、パートナー団体においても、一職員の横領を未然に防ぐことができなかった人事体制および経理処理・監査に課題があったことをパートナー団体代表はじめ団体として認識し、深く反省しております。

再発防止の取り組みについて

本件を受けて、以下の再発防止策に取り組んで参ります。

①パートナー団体の管理体制
・パートナー団体側の事業担当者を職員1名から2名に増やし、代表1名を加えた計3名で実施・モニタリングを行い、パートナー団体代表によるチェック体制を徹底する。

②パートナー団体選定基準
・パートナー団体選定基準や選定プロセスの見直しを行い、より適切なパートナー団体が選定できるよう、必要に応じて改訂する。

③監査の強化
・当会およびパートナー団体双方にて経理処理、監査のガイドラインの見直しと改訂をし、より適切な資金の支出、使用を徹底する。
・当会役員による定期的なパートナー団体訪問を通して再発防止策が順守されているか確認を行う。

④人員配置
・海外事業担当職員の新規採用を検討し、特定の職員に過大な業務負荷がかからないようにする。必要に応じて、国内担当職員が海外事業に充てる時間を増加するなどして対応することも視野に入れる。

⑤リスクマネジメント
・パートナー型の事業におけるリスクを洗い出し、必要な対策について再度見直す。

本件においてパートナー団体とのパートナーシップ継続を決めた私たちの判断基準と信念について

本件が発覚した後、私たちは今後もパートナーシップを続けるか否か議論を繰り返しました。私たちの結論は、「今後もパートナーシップを続ける」という答えです。
本件は、現地パートナー団体と活動を展開する中で起きた不祥事であることは間違いなく、また、それを未然に防ぐことができなかった私たちにも大きな責任があると認識しています。これ以上パートナーシップを続けることに妥当性はあるのか、パートナーシップを解消すべきだというお考えの方も少なからずいらっしゃるかと思います。

私たちが現地パートナー団体と活動を展開する中で、様々な決断に迫られることがあります。そうした時に、重きを置く価値観のひとつに、その決断が本当に「受益者のためになるか」、「受益者が暮らす地域のためになるか」、そして「私たちの実現したいビジョン(社会像)につながっていくか」ということです。

今すぐにパートナーシップを解消することは、即ち現在進行している現地での支援事業を途中で打ち切り、撤退することを意味します。

日本ではあまり報道されることはありませんが、私たちが活動するケニアとウガンダをはじめとする東アフリカ全域では、今年に入ってから大規模な干ばつが発生しています。ケニア政府は国家レベルで干ばつの危機に面していると宣言し、食糧危機に陥る人口は400万人にのぼると予想しており、多くの人々が影響を受けています。私たちがパートナー団体と活動を展開するホマベイ郡は、人口の約60%が貧困層であり、支援を待つHIV陽性のお母さんたち、子どもたちの暮らしは過酷さを増しています。こうした状況において、私たちが撤退することは、支援を待つ受益者たちの暮らしや命を脅かすことになると判断いたしました。

今回の不祥事を深く反省するとともに、二度とこのようなことが起こらないよう再発防止策を徹底し、今後の活動において高い説明責任と透明性を果たしながら、現地の課題解決に力を尽くしてまいります。

「HIV/エイズに影響を受ける子どもたちが未来を切り拓ける社会を実現する」というPLASのビジョンを達成するために、これからも団体として成長するためのいかなる努力も続けて参ります。重ねまして、理事、職員一同ともに深くお詫び申し上げますと共に、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

                                              2017年7月20日
特定非営利活動法人エイズ孤児支援NGO・PLAS
代表理事 門田瑠衣子