PLASの現地活動現地レポート

ウガンダレポート|悲しいお知らせ

みなさんこんにちは、代表の門田です。
今日はみなさんに、悲しお知らせをしなければなりません。

ウガンダでともに活動をするパートナー団体「カユンガ」の事務局長のジュリエットさんが、8月に永眠されました。
詳しい原因についてはわからないのですが、肺に異常が見られ、入院をしたのですが、治療の甲斐なく、他界されました。

カユンガのメンバーも大きなショックを受けており、また私たちも、大変なショックを受けています。
これまでの活動にスタッフ一同深く感謝すると共に、謹んでお悔やみ申し上げます。

今回のレポートでは、彼女と私たちの思い出をたどり、これまでの彼女の功績を称え、感謝を伝える記事とさせてください。

ジュリエットさんと、わたしたちの出会い

ジュリエットさんと私たちは、2011年に出会いました。
当時、ウガンダで活動を拡大しようとしていた私たちは、同じ志で事業を立ち上げ、進めていくことができるパートナーを探していました。
そこでパートナー候補として、カユンガと出会い、ジュリエットさんと出会いました。

2011年、最初に出会ったとき。ジュリエットさんは一番右。

理事の大島が現地でインタビューを行ったのですが、代表のジョイさんが、英語でうまく活動を伝えられないときに、ジュリエットさんがしっかりとサポートし、インタビューを円滑に進めることができました。
その後、度重なる調査と連携の打ち合わせの末、2013年より、PLASとカユンガはパートナーシップを結び、養鶏によるエイズ孤児支援事業を開始しました。

養鶏事業で大活躍された、ジュリエットさん

鶏舎を建設し、養鶏スキルの研修、会計の研修などを実施していきました。
会計研修での理解度テストでは、約40名のカユンガのメンバーの中で、ジュリエットさんが最高得点を記録しました。

ジュリエットさんは左から2人目。会計のワークショップをリードする様子。

また、卵や鶏の販売については、彼女が業者とのやり取りを担当するなど、大活躍をしてくださいました。
養鶏事業は順調に進み、これにより50名の子どもたちが、現在も学校に通っています。

支援を断ったジュリエットさんの真意に、彼女の思いが表れている

2014年には、養鶏事業に加えて、ペーパービーズアクセサリーの制作による生計向上事業も開始。
夫がエイズでなくなり、女手一つでエイズ孤児を育てているシングルマザーたちに制作を教え、仕事を作り、収入を上げて教育に充てる、という事業です。

あるとき、本音か冗談か、ジュリエットさんが「自分にも、収入向上の仕事が欲しい」と漏らしました。
ジュリエットさんは、事業「実施側」で、この収入向上に参加する、いわゆる支援の「対象者」は地域のほかのお母さんたちなのです。

ジュリエットさん自身もエイズで夫を亡くしており、シングルマザーでした。
支援を受ける資格はある彼女ですが、
「ジュリエットもペーパービーズを作る?」と聞くと、

「それは悪くてできない」

というのです。
PLASが買い取るペーパービーズの数は毎月決まっていたため、自分が作ってしまうと、一人当たりの買取数が減ってしまうから、ということでした。

当時ジュリエットさんは、別の仕事を自分で営み、生活していました。
生活の大変さを嘆いている様子は、これまでほとんど見ませんでしたが、裕福な暮らしをしていたわけでは、決してありません。

リーダーシップもあり、積極的で、賢いジュリエットさんですから、自分の事業も、うまくやっているんだろうな、と思い、詳しく聞いたことはありませんでしたが、きっと大変なことも多かったでしょうし、楽な生活ではなかったはずです。
それでも、地域で困っている家庭のために、自分は支援は受けられない、という彼女の思いに、感動したことを、今でも覚えています。

ペーパービーズの事業の打ち合わせ。ジュリエットさんは一番右。打ち合わせはいつも家の軒先でした。

ジュリエットさんと、カユンガメンバー、支援を受ける地域のシングルマザーとの絆

ジュリエットさんはメンバーからの信頼も厚く、リーダーシップを持った女性でした。
10年以上の付き合いがあるメンバーもおり、みなさんは大きな喪失感を抱えています。
埋葬された場所にはメンバーが集い、ペーパービーズの事業で支援を受けていたお母さんたちは3日ほど、そして代表のジョイさんは1週間ほど、そこで過ごし、彼女を偲んだと聞いています。

PLASも先日、お墓参りをさせてもらいました。
その際に、親戚の方は、ジュリエットさんとカユンガのメンバーの写真を、大切にとっていらっしゃり、それを見せてくださいました。
カユンガの活動、そして団体を、ジュリエットさんがずっと大事にしてくれていたんだな、と改めて感じました。

左手がジュリエットさん、真ん中がカユンガ代表のジョイさん、右手がペーパービーズ事業で支援を受けるアギネスさん。

ジュリエットさんの死から、1か月ほどが経ち、カユンガのメンバーたちにも前向きさが戻ってきました。
そして、活動の中で重要な役割を担っていたジュリエットさんの思いを引き継ぎ、彼女を思いながら、彼女の残した遺志を継ぎ、事業を進めています。

ジュリエットさんの写真をみんなで眺め、彼女を偲ぶカユンガのメンバーたち

長くなってしまいましたが、これまでのジュリエットさんの活動に深く感謝するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。

ジュリエットさん、本当に、ありがとうございました。
ジュリエットさんの遺志を継いで、これからも活動を続けていきますので、どうか見守っていてください。