PLASの現地活動現地レポート

ケニアレポート – 啓発活動の社会還元について-

こんにちは!キスム事務所駐在員の安田聖子です。
今回は、啓発活動が地域住民から評価され、HIV陽性者サポートグループの責任者となった本事業の啓発リーダー、Sさんをご紹介します。

Sさんは普段は物静かで口数が少ないので、啓発活動では声が小さく聞こえづらいと地域住民から指摘を受けることもあります。そんな中、これまでの啓発活動を通して、彼の伝える母子感染予防の知識や熱意が評価されるようになりました。今年の2月に行われリフレッシャー研修の直後、彼の住む地域のHIV陽性者サポートグループの責任者に選ばれました。

※HIV陽性者サポートグループとは
HIV陽性者が結成したグループ。HIV/エイズに関する情報(妊産婦検診啓発、栄養指導、パートナー間でのHIVステータスの不一致の問題など)を共有し、課題を話し合う互助組織。

Sさんは、これまでは平社員ならぬ、役職のつかない平メンバーでした。しかし現在は、メンバー31名で行う会議の計画、実施を彼が中心に行っています。会議では互いの健康相談はもちろん、HIV陰性者への感染を防ぐためのコンドーム使用について、知識を広めたりします。また、「HIV陽性者(ポジティブ)として」のステータスを受け入れて、どう生きていくかについても話し合うそうです。

Sさんに、責任者という重役について感じていることをインタビューしました。
「私は責任者としての自分の仕事が好きで楽しんで行っています。自分の経験と知識をこれまでと違った形で感染防止に活かすことが出来るからです。」
HIV陽性者(ポジティブ)として、地域住民をポジティブな方向へ導くSさん。これまでの地道な啓発活動が新たな形で社会に還元されたのではないでしょうか。

今の時期、こちらは雨季の終盤に差し掛かっており、収穫間近のメイズ畑が広がっています。メイズの緑と道路の赤土の対照的な色合いが美しく、移動中はタクシーの車窓から景色を楽しむことができます。一方、地域住民は草取りなどの農作業で忙しく、啓発活動の参加人数が少ない時期でもあります。彼らの生活スタイルを尊重しながら活動するプラスとしてははがゆいところですが、雨が止んでメイズの収穫が終わった後、また多くの住民が啓発活動に積極的に参加してくれることが期待されます。
その際にはSさんをはじめ他の啓発リーダーを通して、より多くの人々に母子感染予防の知識が社会に還元されることを心より願っています。

文責:安田 聖子