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【Weekly News】エチオピア:普及が進まない医療機関での出産

エチオピアでは現在政府の方針で医療体制の充実が図られている。中でもHIVの母子感染予防は重要課題となっているが、大半の妊産婦は母子感染予防プログラムを受けられない自宅出産を選択している。2009年度にはHIV陽性の妊産婦のうち、医療機関での母子感染予防プログラムを受けたのはわずか8%にとどまっている。

ハウィ・デベレさん(29)は医療機関が多数存在する首都アディスアベバに住んでいる。しかし2人の子どもは自宅で出産した。「母も私を含む兄弟全員を自宅で出産しました。この地域の人達はみんな産婆さん(医療資格を持たない伝統的助産師)に手伝ってもらって自宅で出産しています」と、デベレさんは語る。

WHO(世界保健機関)によると、近年エチオピアでは妊産婦検診数が増えており、母子感染予防の一環としてHIV検査を受ける妊産婦も70%以上と上昇傾向にある。しかし、医療従事者立会いの下で出産するのは全体の6%と低い。

首都のクリニックで働く家庭保健師のマーサ・ケベデさんは次のように語る。「ほとんどの妊産婦は出産時に問題がない限り医療機関には来ません。医療機関で出産することのメリットを彼女たちに伝えることが今ある最大の課題です。」

政府は新たに2600もの医療センターを建設し、その半数で母子感染予防プログラムが提供されている。出産にかかる費用は全額免除されるにもかかわらず、なぜ医療機関での出産が普及しないのか。原因はHIV/エイズに対する差別にあるのではないかとケベデさんは語る。「医療体制の充実も大切ですが、HIV/エイズの正しい情報を人々に伝え、差別や偏見をなくすことが必要です。出産・育児の男性参加も低く、HIV陽性の女性は家を追い出されることを恐れ、検診を中断してしまう。」

エチオピア政府は医療機関での出産を推奨するキャンペーンを展開しており、多くの著名人も安全な出産を呼び掛けている。人々がHIV/エイズについての理解を深め、子どもたちの命を守るために適切な行動を取ることが今、求められている。

(翻訳:大島陸)

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原題:Ethiopia: Hospital births still unpopular
日付:March 3, 2011
出展:IRIN PlusNews
URL:http://www.plusnews.org/Report.aspx?ReportID=92142
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