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【Weekly News】ケニア:緊急避妊薬普及でコンドームを使用しない若者たち

ケニア政府が緊急避妊薬を家族計画政策の一環として推進し始めて3年。一般市民たちがその使用目的を正確に理解していないという課題が浮き彫りになっている。この薬の普及はコンドームを使用しない性行為を助長することになり、若者たちはますますHIV感染のリスクにさらされている。
ケニア政府によるthe Abstinence and Worth the Wait programme(禁欲と性モラルに関するプログラム)のコーディネーター、Anne Muisyo氏は次のように話している。「性行為に関して10代の若者たちが気にしているのは、HIVやその他の性感染症のことではない。若者たちの関心は“妊娠するかどうか”ということにある」。緊急避妊薬は、“使用すれば妊娠の確率を下げられる”との考えから、若者の“コンドーム未使用の性行為”を助長しているのだ。
ケニア職業能力開発大学の学生、Jack(仮名)はコンドーム使用について次のように話している。「いつもコンドームを持っているわけではない。コンドームを使わなかった場合、翌日緊急避妊薬を買えるように女性に少しお金を渡すよ」。同大学に通う別の学生も、「パートナーとの性行為にコンドームは使わない。緊急避妊薬が安く手に入るという安心感はいつでもある。」と話す。
政府は“緊急避妊薬は必ずしもコンドームの代わりにはならない”と強調するが、正確な認識はなかなか定着しない。確かに、緊急避妊薬で妊娠の確率は下げられるかもしれないが、HIVを含む性感染症への感染は防げない。ケニア厚生省のShahnaaz Sharif氏は、「コンドームなら妊娠と性感染症への感染の両方を防ぐことができる。」とし、コンドーム使用を強く勧めている。
家族計画に関するNGO、Family Health Internationalの地域医療アドバイザー、Marsden Solomon氏は次のように話す。「性交渉において多くの若者が気にするのはやはり“妊娠するかどうか”ということ。これは経済的にも精神的にも影響力が大きいからだ。そのため、コンドームは使わないけれど緊急避妊薬を使って妊娠への不安を取り除こうとする。この時、“コンドームを使用しない=HIVや他の性感染症に感染する可能性がある”という事実はほとんど認識されない」。
調査によるとケニアでは望まない妊娠も増えているようなので、やはり緊急避妊薬はこれからも普及させていくべきだとSolomon氏はいう。ただ、緊急避妊薬とコンドーム、それぞれの使用目的への理解が広まらない限り、ケニア国民の性感染症へのリスクは高まる一方である。
(訳:大場菜生子)
原題: More education needed on emergency contraception
日付: November 18, 2009
出典: IRIN Plus News
URL : http://www.plusnews.org/Report.aspx?ReportId=86953